アーティスト紹介


インコグニート(Incognito)

04年にジョージ・デュークとの快作を発表したばかりなのに、もうニュー・アルバムが完成。それもリミックスでもライヴでもないオリジナル・アルバム第11弾。90年代はじめの破竹の快進撃を見るようだとコア・ファンが嬉しい悲鳴を上げれば、ブルーイはそこにまたまたお得意の鋭いキャッチ・フレイズを投げ込んできた。「これこそ典型的なインコグニード・サウンドをパックした、我々の自信作、決定盤だ!!」。ゲスト・フィーチャーしたアシッドの歌姫カーリーン・アンダーソンを連れてくるところに、そこで得た自信とショウにかける意気込みがありあり。さらに、リード・ヴォーカルのメイザ・リークはもちろんのこと、UKトップ・ギターのトニー・レミも帯同。ソウル&ファンク決定盤の再生のためなら、ファミリーを総動員するのもいとわない様子だ。

グループの母体は、フランス系英国人のマルチ・プレイヤー、ジャン・ポール・"ブルーイ”・モニックが1970年代後半に結成したバンド“ライト・オブ・ザ・ワールド”。このメンバーを中心にして、80年前後に“インコグニート”を名乗り、初アルバム『ジャズ・ファンク』(東芝EMI)を発表。まだジャズ・ファンクの波風の立たない全英チャートで、アルバムを28位まで押し上げた。本格的な活動を始めるのは、アシッド系レーベル“トーキングラウド”と契約を交わした91年から。アシッド・ジャズの名付け親のD.J.ジャイルス・ピーターソンの支援で、『インサイド・ライフ』を制作し再スタートを切った。ジャズ・ファンク・ブームにも乗って作られた第3作『トライブス、ヴァイブス+スクライブス』、4作目の『スティル・オブ・ア・フレンド・オブ・マイン』でメイザ・リークら有能なシンガーを迎えて独自の音楽コンセプトをアピール。93年5月にはクラブ公演ながらニューヨーク・デビューも果たして評価を決定づけた。ソウル・フィーリングあふれる歌、ホーン・セクションを交えた分厚いアンサンブル、そして、ロンドン・ベースの人気セッションマンを軸にしたバンドらしいしなやかさでオリジナリティを磨いてきた。以来、グループ名義の『ポジティヴィティ』『ワン・ハンドレッド&ライジング+1』などのヒット作で世界にアピールする間、リード・ヴォーカルのメイザ・リークが95年にソロ・デビューし、ベーシストのランディ・ホープ・テイラーはやがてジェフ・ベックのサポートにもまわるなどワールド・ワイドな活躍を開始。さらにプロデュースの手腕を買われたモニックは、ジョージ・ベンソンやドナルド・バードらのヴェテランをはじめ、マキシ・プリーストやクレモンティーヌらを後押ししてきた。アルバム制作でも、ダンス・フロアを射程に代表曲を編集した『リミックス』を96年に発表。さらに、96年の来日公演の模様を収めた『トーキョー・ライヴ1996』を日本限定でリリース。99年の『ノー・タイム・ライク・ザ・フューチャー』(以上のアルバムはユニバーサル・ミュージックから)では、ランディ・ホープ・テイラーやメイザ・リークら歴代の代表選手を集め、90年代の創作を総括して見せた。そこで、01年の『ライフ・ストレンジャー・ザン・フィクション』を最後に“トーキングラウド”を離れ、日本ではポニーキャニオンと契約し『フー・ニーズ・ラヴ』を発表。それをバネに走り続けた04年にはグループ活動25周年を迎え、ジョージ・デュークを起用した『アドヴェンチャー・イン・ブラック・サンシャイン』を完成。UKソウル&ファンクの代表チームらしい、重心の低いサウンドでファンを魅了した。最新作は、ゲスト・シンガーにカーリーン・アンダーソンを迎えた『イレヴン』(以上のアルバムはポニーキャニオンから)。来日するのは、05年12月のブルーノート東京公演以来9ヵ月ぶり。ジャズ祭への出演は03年夏以来3年ぶり。

オフィシャル・サイトは「http://incognito.org.uk/」
ブルーイが主宰するライス・レコードは「http://www.ricerecords.com/」

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