2020.05.19
小曽根真さんからコメントが届きました!
小曽根真さんからコメントが届きました!
Q.小曽根さんにとって「東京JAZZ」とは、どのような舞台でしょうか?
世界中のジャズフェスティバルの中でも数少ない、「きちんと音楽を聴かせてくれる」音楽祭です。そして僕が一番ジャズフェスに求める「創造」を続けてきているジャズフェスティバル。消費が最優先される世の中が長期間にわたり続いてきた今、この地球から「待った!」がかかったと僕は受け止めています。この音楽の世界にも「待った!」がかけられました。僕が尊敬する作家の故井上ひさし先生の受け売りになりますが「文化祭というものはまずその場所で何かが生まれ、終わった後にそれが財産として残らなくてはならないのです」という哲学を、僕はこの東京ジャズでいつも実現させていただきました。新しい自分のアルバムのプロモーションではなく、この東京ジャズでしか聴けない音楽を常に作り続ける。それを許してくれる、僕にとっては唯一のフェスティバルです。
Q. コロナウイルス感染症の拡大を受け、NHKホールでの東京JAZZプラスは中止となり、オンライン開催が決まりました。
ご自身はどんなパフォーマンスを見せたいとお考えでいらっしゃいますか?
今回はNo Name Horsesで出演させていただく予定でした。今回もビッグバンドでプログレのロックを、僕は自分が弾くハモンドオルガンで、しかも今回は2年前に他界した父、実(みのる)の(今は僕の…笑)ハモンドを使ってのステージになる予定でした。また、今年はNo Name Horses結成15周年もあり、本当に残念でなりません。
LIVESTREAMで皆さんにお届けするバンドの映像はロックではなく、このバンド本来の大スイングを楽しんでいただける曲を選びました。テレワークでも一緒に演っている感覚で吹いてしまうNo Name Horsesのファミリーメンバーを1人1人ご紹介できるアレンジにしてみました。 僕のソロに関しては未定です。だからこそジャズ。リモートであっても一旦ピアノの椅子に座れば感じることのできる皆さんからのバイブを、そのままその日の音楽で表現したいと思っています。なので、僕もとても楽しみです。
Q. ファンにメッセージをお願いします。
皆さんには感謝の言葉しかありません。僕ら音楽家が生活できるのは全て皆さんがいてくださるから、コンサートに足を運んでくださるからです。僕の住んでいる家も、毎日食べられる食事も、今こうやってこの文章を打つラップトップも全てそう。このコロナウイルスにおける全世界的な非常事態は、今まであたりまえであったこの「ありがたい環境」をもう一度見直す機会だと確信しています。僕自身の思いをシェアさせていただけるならば、音楽という言語のそもそもの存在理由や、その意味、そしてその言葉を話せることでお会いした事もない人達とも繋がれるこの豊かさに改めて感謝しています。緊急事態宣言が出されてから始めた自宅からのLive Stream配信でそれを毎日実感しています。僕の音楽を聴いて温かいコメントを返してくださる皆さん、その僕の弾いた音源に自分の演奏をダビングをして送ってくれる世界中の音楽家たち。
音楽は、そして全ての本物の芸術は贅沢品でも高尚なものでも、また専門家のものではなく、普通に人間が生きていくのに必要不可欠なものだと。そしてそれを教えてくれるのは、全て僕らの音楽を受け止めてくださる皆さんなのです。 (ここにブランクありませんか?)だから、本当にありがとうございます!! 今は、とにかく無事でいてください。このトンネルを抜けたら、次のもっと素晴らしい世界が創れるはずです。一緒に頑張りましょう!!
小曽根真