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音楽プロデューサー、ハービーが語った「東京JAZZ」への熱い思いを御紹介します。
(於 日本外国特派員協会記者会見 2月20日)
Question:
「東京JAZZ」に関わることになったいきさつについて、ご説明願えますか。
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Mr.
Hancock:
まず、共同プロデューサーとして参加してくれという依頼があり、そのときジャズ・フェスティバルを企画するというのも面白そうなプロジェクトだなと思いました。私はいつも、ミュージシャンという枠の外側に、自分にも許容できて何かを学ぶもののありそうな場はないかと、目を配るのが好きなんです。また、私自身が日頃から非常に重要だと考えているある概念がありまして、私はつねにそれを押し進めたいと思っているのですが、今回の東京ジャズに共同プロデューサーとして参加することは、そういう概念を押し進める上で良い機会になるだろうと思ったんです。その概念のひとつが、ジャズのリスナーの新しい世代を育てることの重要性なんですが、もし私たちがブリタニー・スピアーズやエミネムに夢中になっている若い世代とのギャップを埋める橋となるような道を切り開かなかったら、つまり、今そういう若者たちにジャズにもおもしろいところがあるのだと気づかせるための道を作らなかったら、ジャズは死に絶えてしまうでしょう。聴き手がいなくなったら、音楽が生き残れるわけがありません。ですから、ひとつには、若者たちを意識した何かをするため、ということもありました。
もうひとつ、私にとって重要な意味のあることが、「地球的規模でものごとをとらえる」という考えかたを推進することなんです。私たちはみな、人類というひとつの家族であり、昨今の発達したコミュニケーション手段やテクノロジーによって、ますますその連帯感は強くされますが、ときには逆にますますバラバラに離れてしまうことにもなっています。とにかく、このような理由から、共同プロデューサーとして東京ジャズに参加したいと思ったわけです。それに、今回一緒に仕事をしている人たちも私と同じような考えかたをお持ちでした。ですから、ある意味では、みんな一緒に同じことを目指しているわけです。
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Question:
東京JAZZ2003について、何か具体的な情報がありましたら教えていただけますか。
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Mr.
Hancock:
昨年の試みが評価されて、東京ジャズはジャズ・フェスティバルとしては非常にユニークな存在とされるだろうと思います。つまり、さっきも申し上げたとおり、若者たちの好みと、私たちがジャズと呼ぶ美しい金鉱、ジャズというこのクリエイティブな音楽的核とのあいだを埋めたいという意図を、つまり先ほどのお嬢さんがおっしゃっていたようなこと、すなわち音楽と意表を突くような何かとの新しい組み合わせもやってしまおうというような、非常にオープンで多様性のある考えかたを実証しようという意図を打ち出していたからです。たとえば、以前、2日間それぞれ日替わりでメンバーが違うスーパー・ユニットという企画をやったことがありました。昨年のこの企画は非常にうまくいったので、今年もつづけてやりたいと考えています。ですから、今年もスーパー・ユニットがありますよ。前回はどういうことをやるのか誰も知らないままやったんですが、本当にうまくいったんです。こういうことを実際にやったことのあるフェスティバルなんて、ほかにないと思います。ですから、今年も出演することになっているアーティストたちで似たようなことをやるつもりです。これを東京ジャズの売り物にしていきたいですね。
それから、やはり東京ジャズには、世界各地のカラーが出るようにしたいんです。たとえばヨーロッパの人たちもいれば、ラテン・アメリカ、アジア、アメリカの人たちも出演する。それは、ジャズが実にグローバルな音楽だからです。また、つねづね固い型にはまった芸術形態ではないジャズとしての非常に重要な要素だと感じている、一種の新鮮な柔軟さをもって、フェスティバルのこのフォーマットを維持していきたいとも思っています。つねに多様に変化し、違うことを受け入れられるようにするんです。少しだけ前より間口を広げるつもりでいます。 |
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